形や構成の操作の仕方
事務所で一日模型を作る。今週は小さなプロジェクトをひたすらスタッフと一緒になって考えている。世の中お盆だし、大学へは入れないし、あまり邪魔もされずに、雑用もなくとてもいい時間である。
昨日の続きだが、設計者は設計する時に形や構成を考えている。そしてそれはできた時の現れを予想しながら操作している。でも現れを予想するとはどういうことだろうか?それはできた時の像を想像するということなのか、できた時の雰囲気を言語化すると言うことなのか?
前者は可能であるが言葉の助けが無いと通り一遍のものになる。一方後者は現れを指示する語彙があやふやなので言葉が浮かんでもそれが適当な像に結び付かない。つまりこの作業はあまり生産的ではない。
そこで思うのは形や構成を考える時の思考方法である。形や構成は「現れ」よりか、遥かに言語化しやすい。そしてその言語はAに対して非Aという物差しの中で考えることができる。例えば直線的か曲線的か、広いか狭いか、太いか細いか、長いか短いか。構成であれば連結か分割か、包含か接続か、などである。こうした物差しの上で操作していくとその目盛の半ばくらいでその物差しとは違う次元の物差しが現れたりする場合がある。曲線か直線かを操作していると蛇のようなにょろにょろした感じとか、糸くずのような感じとかである。それらは比喩だったり、形容詞だったり、あるいは形の次元から現れの次元に飛ぶ場合もあるかもしれない。それはその時々で異なる。いずれにしてもこうした基本的な形や構成の操作の目盛を回しながら以外な場所に飛びだせるような気がする。
そんなことは恐らくだれでも自然にやっていることなのだと思う。もっと言えば、料理だって服飾だって、音楽だって表現のファクターの目盛を少しずつ変えることでいい味を出しているわけだ。スパイスの量を変えたり、生地の長さを調節したり、ビブラートの掛け方を変えたり、、、だからこんなことは当たり前なのだろうが、それを少しばかり意識的に方法的にやってみると展開がスムーズになるということである。
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