巻き添え被害
娘が四谷の大学へ受験に行った。学科は新聞学科。英語、国語、社会、小論文。僕は午後森美術館にLEE・BULの展覧会に行ったhttp://ofda.jp/column/。会場で偶然SETENV入江君にお会いする。
帰宅後ジグムンド・バウマン(Bauman, Z)伊藤茂訳『コラテラル・ダメージ―グローバル時代の巻き添え被害者』青土社(2011)2011を読む。コラテラルとはタイトルに沿って言えば巻き添えという意味である。一言で言えばグローバル化が拍車をかけている格差は天災が起こった時に災害分布に影響を与える。言うまでもなく貧しいものの被害を大にして富める者の被害を小にする。
例えばハリケーンカトリーヌが来た時に富めるものは速報が入った瞬間に保険がかけられた家財に何の未練もなく飛行機で逃げた。貧しいものは自家用車に家族全員で乗って逃げるものの食べるものもなく泊まるところもなくそのうちガソリンもなくハリケーンに追いつかれる。仮に生き残っても既に我が家は無いわけである。
バウマンの相手にする貧とは日本では想像できないような最低線なのだが、日本でも天災の分布を所得にクロス集計すると貧に大、富に小と出るような気がしてならない。これまではまだしも。これからは?3年で70%という数字が出た現在、富める者は必ずや免振構造のマンションに引っ越すか、外国行くか、耐震補強するか考えるだろう。一方生きることに精いっぱいの人々にそんな余裕はない。おそらく東日本クラスが来たら崩壊する木造密集地帯は分かっているのだけれど、経済弱者にそれらを補強する余裕はない。若きワーキングプアたちは漫画カフェを渡り歩き、違法建物の中で生き埋めになる可能性だって高いのである。
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