ネットとマスメディアの力関係
数年前から『思想地図』はコンテクチャーズという合同会社から出版されるようになった。この会社は東浩紀も名を連ねているから、彼は自分で作って自分で売っているわけだ。これはなかなか大変だろうけれど言葉の自律を考えたら理想的である。
その最新版『思想地図別冊メディアを語る』コンテクチャーズ2012を読んでみた。東浩紀と濱野智史の対談でネットとマスメディアの力関係について話されていた。東はその力関係は「10年後くらいには確実にひっくり返るでしょう」と言う。マス媒体の限界を感じる僕も10年くらいたつと誰も新聞買わなくなるかもしれないと思う時もある。そしてまさにこの本のように、マスではない同人たちの情報発信が可能な時代になっている。とは言え、一方で公共の正義が希薄な日本で新聞的なモノが壊滅していいものかとも思う。
ところで10年もすると確かに様々な表現の媒体がネット中心に回る可能性が高い。すでにテキスト、音楽はかなりそうである。果たして、絵画や彫刻、そして建築のようなものまでさらにネット媒体の重要性が高まるのだろうか?テキストや音楽とやや異なり、建築の身体性や実存性はそこへ行って初めて分かることが多いので本来ヴァーチャルな世界に馴染まないのだろう。しかし技術のイノベーション速度は想像を絶する。そうなるともはやあるサイトに行って特殊なメガネをかけると自由にその建築を体感できるような装置が開発されるものもそう遠いことではないだろう。10年前まだネットにダイヤルアップしていたことを考えれば10年後に何が起こるかはだれも分からない。
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