欧米人はモニュメントを欲する
朝からアルゼンチンで買ってきた本を読む。Gustavo A Brandariz‘OBELISCO Icon de Buenos Aires` My special book Buenos Aires, New York 2011. ブエノス・アイレスの中心軸である世界で一番幅広いと言われるAv. 9 de Julio(7月9日通り)はグリッド都市ブエノスアイレスの1ブロック分あるので約100メートル。その大通りとコリエンテスの交点に1936年に建てられたのがBAのオベリスクですある。
オベリスクはエジプトで最初に作られそして20世紀にいたるまで世界各国で作られてきた。一番大きいのはアメリカワシントンのそれで169メートル。ブエノス・アイレスのものは67メートル。ローマサンピエトロのそれが25メートルとだいぶ低く、パリコンコルドは23メートル。
3年前このオベリスクを見た時に、どうしてこんな何処にでもあるものをこの街のとても重要な場所に作らなけれならなかったのか不思議に思った。そして今回は時間が無くてこの通りにさえ行っていないのだが、この本を読みながらその謎は少しずつ解ける。
西欧の都市には実態としての、つまり目に見える形象としての中心が必要なのである。その際その形象は高くて細いものでないとどうも上手くない。特にBAの場合は道路の真ん中にあるのだから。そうなるとエジプトの昔からあるこの形が選択されるのは自然の成り行き。
ロラン・バルトが東京で著した『表象の帝国』の中で東京には虚の中心があると書いたのは言葉の遊びではない。フランス人にとって実態の無い、目に見えない中心があることが不思議なのであろう。そこにあるのは江戸城址でありエンペラーの住居だがそれはその場所の内容であり視覚化されていない。
実態の前に内容を問うという我々の建築作法と欧米人の作法との差はワークショップでも鮮明になった。彼らは先ず視覚化できる実態を持ってくる。我々はそこでの意味を問う。しかし彼らにとって建築とは先ず実態なのであろう。都市とは先ずそれを規定する形態でありその中心にあるべきオベリスクを作ることなのである。内容を問うことは彼らにとって最初にやるべきことではないのである。
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