大友良英さんの音づくりを見る
アルゼンチンに行く前にリーテム東京工場を舞台にしたビデオを作りたいと思ってセットエンブの入江君とリーテムの社長に相談した。そうしたら社長が「一緒に作ろう。だけど条件がある。音楽は大友さんね」と言う。「それは素晴らしい、そうしましょう」僕は二つ返事で了解した。
ところが大友さんは三月とても忙しくて音づくりの時間がとれない。そこで東京工場は二瓶さんの映像に大友さんの既成の曲を合わせて一つの作品とし、水戸工場は大友さんに先ず音を作ってもらい、それに合わせて二瓶さんが映像を作ると言う普通の流れとは逆をすることになった。これも社長の方針である。普通映画だってなんだって映像を見ながらミュージシャンが音作るものだろうに、音楽作ってそれに合わせて映像撮るって普通じゃない。
吉祥寺のスタジオには大友良英さんサチコMさんなどすごいミュージシャンが既にだいたいの音入れを終えた状態だった。僕は大友さんの『MUSICS』岩波書店2008を片手にミーハー少年となってスタジオに行った。
5分程度の曲二本がとられた所で二本目の曲が流れていたのだが、それを聞いて驚いた。涙が出るほど美しいピアノの旋律にアコースティックギターがかぶさりあたかも大自然をバックした映画のラストシーンのようである。大友さんってこんな音作るんだ????あまりのその叙情的な音にただただ驚いた。その昔六本木でレコードぐるぐるまわしてノイズをぶんぶん出していたあの大友さんと同じ人とは思えない感じだった。
でも大友さんが「この音に工場のガチャーンとかギーンとか勝手に入れてね、この音消えちゃっていいから」とこう言うのを聞いてああそうなのかと納得した。
二瓶さんの映像がこれにどうかぶさるのかとても楽しみである。
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