犬化した現代人
テンプル・グランディン、キャサリン・ジョンソン、 中尾 ゆかり『動物が幸せを感じるとき―新しい動物行動学でわかるアニマル・マインド』NHK出版2012を読む。
犬はオオカミが分化したものだが、オオカミの子供状態で成熟が止まっていると言われる。こういうのを幼形進化って言う。祖先の幼体にのみ見られる特徴的な姿で成熟を迎えることをさす。何故そういうことが起こるのかというとそれ以上の進化が犬の時代の環境になったら不要になったからだ。つまり犬は人間に家畜化されることでオオカミ化する必要が減っていたのである。
なんだか人間の世界でもこういうことは起こっているように感じる。僕らの親父世代から見たら明らかに今の学生達は幼い。考え方も、行動も、親父世代の中学生のインテリジェンスである。何故そうかと言えば、環境がそれを必要としないからである。だれも中学生に半世紀前のインテリジェンスを期待しないからである。だから幼いまま成長が止まっちゃうわけである。人間も昔はオオカミだったのがどんどん家畜化して今は犬化したということである。
犬の幼形進化が、本質的には種を残すための「進化」を表す言葉であるにも関わらず、
それを「進化」ではない「学生の幼稚化」に適用している点には疑問を感じます。