工学部ヒラノ教授
今野浩『工学部ヒラノ教授』新潮社2011という本が本屋でちらっと視界に入った。表紙の絵が東工大本館と察知した瞬間昔の記憶がぐるぐると蠢き始めた。「ああきっとこの著者の本を昔読んだことがある!!でもそれは何だったか???」その本を手にとって奥付のあとに印刷された宣伝を見て思い出した。その本は『すべて僕に任せてください―東工大モーレツ天才助教授の悲劇』であった。この本は著者の助手だったモーレツ天才助手が政治力に欠けるため頭はいいが昇格せず、やっと助教授になった時に死んでしまうという悲しい話。それがノンフィクションであることが大学の外の人から見れば嘘みたいに響く。しかし中にいる人から見るとありそうに聞こえる。反原発を唱える有名国立大学の有名ジョキョウが未だにジョキョウであるのも似たような理由である。
さてその同じ著者が今度は自分をモデルとしながら、筑波、東工大、中大の3校で教えた経験を元に理工系学部の内情をよりこと細かに暴露しようとした。彼曰く文系大学の内情を暴露したかの有名な筒井康隆『文学部唯野教授』の理工系学部版を書きたかった。いやはや、こんなことはさもありなんと思う一方、改めて活字になったものを読めば、理工系学部がいかに社会的常識から良くも悪しくも逸脱しているかが分かる。自分は違うなんて思うことが一番危ない、、、、
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