僕はやっぱり理系人間?
『工学部ヒラノ教授』によると、あの霞が関ビルの構造設計をした武藤清大先生は東大工学部長だった時に著者も出席した歓迎工学部の会でこう演説したと言う。「諸君工学部によく来てくれた。今日から諸君は僕らの仲間だ。これから訓示を述べるから良く聞くように。エンジニアは時間に遅れないこと、以上」。著者を含めやっと三年生になった東大生は想定外の短い訓示にあっけにとられたと言う。また著者が卒業する時、学長とともに祝辞を述べた学科長はこう演説した「卒業おめでとう。諸君にはなむけの言葉を送ろう。納期を守ること。これさえ守っていれば、エンジニアは何とかなるものだ」。東大の格調高き大先生がいずれも格調低いことをおっしゃるので著者(のみならず出席者は皆)はがっかりしたと言う。
東工大のこう言う会で誰が何を言ったのか僕は全く覚えていない。きっとそれなりに格調高いことを言ったのだろう。ここまで想定外のことを言われれば僕もきっと覚えているはずである。
「時間を守れ」が学問の目標だなんてなんとも悲しい。と思いつつ、僕も信大時代学生にさんざん同じようなことを言っていた「締め切りを守れ、これを破ると次からは仕事が無いものと思え」。得意になって叫んでいた教えは何てことなはない。エンジニア共通の掟でしかなかった。
著者曰く工学部の会議で遅刻をする人間は先ずいないという。確かにそれは僕も信大に赴任した時に感じた。会議が始まる1分くらい前から議長は妙読みをする。ここまでやるかと思いつつ、みな正確に定刻前に来るのである。時間を守ることを皆がいっしょになって楽しんでいる風である。そしてそれは理科大でも同じである。因みに一橋では会議は定刻10分過ぎに始まるのが当たり前とのこと。自分は理系人間ではないと思っていたが、十分理系人間であることがこれで分かった。
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