ウッツォンの教会
北欧は昨日がイースターで今日も祝日と土日を挟んで連休。アルゼンチンの時もそうなのだが、国外出張はここしか行けないという時に限って相手国は連休がはいる。その間建築見られていいと言えばいいのだが。
というわけで今日はコペンハーゲン郊外のバクスバルトにあるウッツォンの教会を見た。この教会についての最初のコメントを読んだのは、おそらくフランプトンの『テクトニックカルチャー』においてである。テクトニック(結構的)とはフランプトンの意味においては、構成が明確で何によってこの建築ができているかがよく理解できるということである。確かにこの建物はセメント板のようなものが組みあがっていて、構成要素は写真で見ても明快である。
その次にこの建物について言及されているものを読んだのは、やはりフランプトンによる「批判的地域主義」の中においてだったと思う。曰く、外観はインターナショナルな量産的な作り方をし、内部はもっと地域的でクラフト的で信仰を形にしている。というようなコメントだった(と記憶している。間違っていたらごめんなさい)。
という理屈っぽいフランプトンの二つの説明を聞いてこれを見に行った。さて、言っていることはその通りだと思ったが、この建物の良さを、どちらの説明も言い尽くしているとは言えないし、そんなことよりこの建物の良さは他にあると僕には感じられた。
一つはランドスケープ。道路と建物の間の芝生のアンジュレーションとそこにランダムに植えられた木。二つ目はセメント板のように写真では見えた板が石のようなテクスチャーを持っている。おそらくコンクリート板を磨いて、いわゆる人研ぎのような板にしてあること。三つ目はこの人研ぎ板の横目地はシールだけれど、縦目地はアルミで押さえてちょっとしたディテールがあること。四つ目は白い外壁に部分的にとても微妙に大判のタイルを使ってテクスチャーを変えていること。
つまりランドスケープと、ディテールと、素材感がいいことによって、この建物の周りに独特の風合いと気品が漂っていることがこの建物をこの建物らしくしていると感じたのである。確かに構成的であり、一見インターナショナルでローカリズムだという指摘は正しいが。他にも重要なことがいろいろある。
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