自らを相対化して欲しい
4月からゼミが始まり、学生の発表を聞いていると何を言っているのか理解できないことが多い。特に論文付き設計を行う学生にはこちらも杓子定規にやると面白いものにならないだろうと気を使い論理性を欠いても注意をしない傾向がある。しかしそうして放っておくと手が付けられない。どんどん意味不明度が加速する。
論文を書く学生にはそれなりに厳しく接しているのでまだたががはまっているのだが、これも注意をしないととんでもないことになる。
そもそも彼らが最も分かってないことは、彼らは自分の興味を文章にすれば論文になると誤解している点である。「私はこういうことに興味があります」というだけのプレゼンを聞いてこちらは何と答えればいいのだろうか?「どうぞご自由に」としか言いようがない。
論文書くなら論文とは何かくらい自分で先ず勉強してきてほしいのだが、そういうことをしているようには見えない。仕方ない。推薦ハウツー本くらい探して読ませないと駄目なのかと思い佐藤望編著『アカデミック・スキルズ―大学生のための知的技法入門』慶応大学出版会2012を買ってきた。
そこにも書いてあるとおり、論文書くには少なからず情報収集が必要である。現代は多くの方法があるけれどそれでも本の数十冊くらい読むのは当たり前である。そしてそれを整理するために文献カードを作るのもいろはのいである。自分のカードを引っ張り出してみると、学部時代70冊、院時代は100冊くらいである。もちろんそのすべての本を精読などしていないがその程度は目を通さないといくらフィールド調査ものでも考察の厚みや客観性を持ちえないのである。
自分のお気に入り情報にとり憑かれて、硬直した思考をするのではなく、多くの意見を吸収して自らを相対化してほしいものだ!!!
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