仮名の発明
和様の書という展覧会をやっている。この題名ちょっと不思議に響く。書なんて和に決まっているじゃないかと思うと不思議なことになる。でも書はもともと中国のものだと思い改めれば不思議ではない。そしてその書が日本に入りいつから和様(スタイル)になったか、そしてどう発展したかというのがこの展覧会のポイントである。
これまで書の展覧会はいろいろ見たけれど、ビギナーが書の歴史を把握するには最良の展覧会だと思う。加えて、日本の三跡と三筆を一度に見られると言う意味ではまたとないチャンスであろう。因みに山跡とは平安時代10~11世紀の能書である小野東風、藤原佐里、藤原後成のことを指す。そして三筆とは数種類あるがこの展覧会では江戸時代の能書である本阿弥光悦・近衛信尹・松花堂昭乗を取り上げている。
松岡正剛が言っていたように日本人の最大の発明は仮名である。仮名とは仮の字と言う意味で仮名なのだがいつのまにか日本の最大の発明とまで言われるほどに芸術的に昇華した。そのさまはこの展覧会でも三跡の出現そしてその流麗な仮名を見れば納得がいく。さらに、それが12~13世紀になって武士の時代になり男性的な武士の文化の中でやや陰りをみせるところが面白い。さらに江戸になって三筆の奔放でかつ絵と合体した字と言うものが新たな書芸術の領域を創り上げていくさまは見ものである。
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