カッパの本は強烈だった
栗本慎一郎『パンツをはいたサル』が世に出たのは僕が大学二年生の時で23万部売れた。上野千鶴子『セクシィ・ギャルの大研究』が大学三年生の時で11万部売れた。栗本は明治大学の教授となったが早くに他界し、上野はご存じのとおりこの本が大当たりしてフェミニストして有名になり東大教授となった。どちらの本も目を皿のようにして読み、特に上野の本から受けた影響は相当のものだった。
これらの本はユニークな表紙と企画で知られたカッパの本だった。今は光文社新書にとって代わってしまったがそれまでのカッパのいくつかのシリーズはとても有名でとんでもなく売れた。
『英語に強くなる本』132万部
『頭の体操第1集』185万部
『頭の体操第2集』118万部
『冠婚葬祭入門』263万部
『日本沈没(上)』202万部
『日本沈没(下)』180万部
売れたカッパの本のタイトルを聞くといずれも自分が読まなくても家にあったか見たことはあった。岩波新書に対抗して作られたカッパブックスは新書と体裁も表紙もタイトルもそして何と言っても企画がちょっと違っていた。一言で言えば「アンチペダンチズム」と著者は言う。カッパは「屁の河童」を連想させるし、ユーモラスにアンチ権力を漂わせるところが何とも言えぬ。時代と一言で言えばそうなのかもしれないが、普通の新書に代わってしまったのは残念でならない。(新海均『カッパブックスの時代』河出ブックス2013
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