金町建築トーク大森晃彦・松隈洋
理科大建築学科に大森晃彦さんを特任教授としてお招きして早速金町建築トークなる新しい企画を立ち上げていただいた。初回のゲストは松隈洋さん。新国立競技場を考えるというお話。現国立競技場の歴史を踏まえた考えさせられるお話しだった。
僕は以前より二つのことが問題であると考えている。一つはオリンピックとは何を目的として行われているのかということ。オリンピックと言うもともとスポーツの祭典がいつしか経済復興あるいは国威発揚に利用されてきた。世界が戦後復興にしゃかりきになっているときは未だそれも許せる。しかし経済成長が2%を下回るような時代にそういう視点でオリンピックを行うのはおかしい。
まだこれから伸びる中国やブラジルならありうる話と思ってもみたが先日ブラジルで聞く話はだいたいがオリンピックに否定的で貧富の格差をもたらす以外の何物でもないという言い方なのである。そう思うと日本の今の経済成長の中であれだけのお金を投入してさてそんなものが今後の日本によく作用するとは思えないわけである。
さてもう一つのことは誰もが言うようにあのコンペの要項書は誰が作ったのかという問題にからむ。おそらくあの要項を作るためには誰かが疑似設計をしているはずで、それができる組織は民間の設計事務所かゼネコンである。どことは言わないが民間の会社であり彼らにしてみれば巨大で大きな金が投入されるものを作る方向に手が動くはずである。それは仕方ないことである。設計事務所や施工会社が作るのを止めて現国立競技場をリノベしましょうなどと言うわけがない。いやお役所でさえ経済活性化を狙うのだからなにかどで買いお金を動かしたいわけである。となれば発注側と受注側の利害は一致して誰も批判することなくあの要項書はできてしまったと思われる。そこがおかしい!!!オリンピック施設のおよそすべて、コンペコンペ外を問わず、第三者機関がチェックをするべきだった。いや今からでも遅くない。すべての予定建築をチェックすべきである。
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