自転車事情
John Pucher, Ralph Buehler 著 City Cycling MIT Press 2012を通読。自転車関係の洋書ってどれも結構簡単に読める。知らない単語殆ど無いのは不思議。この本は紹介分を見ると学術的な基礎データーを整理した本でこの手の研究をする人の必読書と書かれている。
二つほど目から鱗な考え方とデーターに出会う。
一つはEffective Speedという概念。これは自転車と車のスピードを比べると自転車の方が遅いけれど、車を買って維持するのと、自転車を買って維持するのにかかるお金を比較してその差を稼ぐのにかかる時間を加味して出したスピードである。もちろんこれは物価や給与が違うので都市ごとに平均値で産出される。
例えば東京だと自転車のEffective Speedは時速12.8キロ、車は11.7キロ。ニューヨークで自転車は9.2キロ、車は8.6キロ。ロンドンでは自転車7.2、車6.6.コペンハーゲン自転車13.3、車12.2となる。つまりEffective Speedという概念で考えれば車も自転車も同じような速度となるということだ。であれば他のメリットを考えれば自転車を使う方がいいことが多いということになる
二つ目はニューヨーク、ロンドン、パリ、東京の建築環境事情を比較したデーター。
先ずちょっと驚くのは移動における自転車利用率(2009)がニューヨーク0.6%、ロンドン2.2%、パリ2.5%、東京16.5%と圧倒的に東京が多いのである。これは駅まで自転車で行く人の数が多いのが原因らしい。
次に自転車レーンの整備状況。人口10万人当たりの自転車レーンは、ニューヨーク9キロ、ロンドン19キロ、パリ20キロ、東京1キロである。乗る人が多いのに専用レーンが無いから人とぶつかるわけである。
更に駐輪場の台数だが、人口10万人当たりニューヨーク153台、ロンドン1669台、パリ1493台、東京6398台である。
駅に自転車でやって来るから駅には駐輪場が整備されていると言うのが日本なのである。
日本は自転車後進国だと言われるのはこのレーン整備の側面で会って乗る人の割合はデンマーク並みのようである。しかし駅に自転車置いてまた電車に乗っておりてまた歩くと言うのは実に煩雑。都心部の車を減らし自転車レーンを整備し家から職場、学校まで自転車で安全に行けるようにしたいものである。
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