東浩紀も旅に出る
『弱いつながり―検索ワードを探す旅』幻冬舎2014の中で東浩紀は概念も大事だけれどモノを見るのはもっと大事。そしてそうしたモノやら人やらとの偶然の出会いを彼は弱い絆と呼び、ネット上での人間関係などとは異なるという。またネットは様々な情報が転がってはいるけれど検索しなければ出てこない。だから知識を広げるには検索ワードを増やさなければいけない。そのためには旅に出よというわけである。なんでこの人がこんなことを言い始めたかというと、ネットにべったりくっついて情報を得るのに体力の限界を感じたというのが本音のようである。そもそもネットに張り付いて生きてこなかった僕らの世代としては最初から旅をしてきたのであえて東から教えられるまでもないのだが、旅に関して一ついいこと言っていた。それは「旅先では新しい情報に出会う必要はなく、新しい欲望に出会え」というものである。昨今旅の情報は事前に多く手に入る。しかし旅先のゆったりとした時間の中でその情報をモノとして見ることでそれが心からの欲望に変わる場合があるということである。これはつまり知っているから見なくてもいいということではなく、それでもモノを見ることの意味を言っている。面倒くさがりの僕には耳が痛い言葉である。また彼がネットから旅へという方向転換を始めているもう一つの理由は「ネットでは自分が見たいと思っているものしか見ることができないし皆自分が書きたいことしか書かない」だからそこに転がっている情報は真実ではないと述べている。これもかなり正しい。確かにネットから得る情報は欲しい情報を知らず知らずに探している。本屋に行く意味は意外な出会いや発見があるからである。
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