建築を経済原理優先で作らない
昨日理科大の3年製図の非常勤講師による課題説明があった。そこで竹中工務店の萩原さん帽田さんペアのスタジオは銀座の一角に文化と歴史を基盤にした都市施設という課題を出してくれた。その課題の主眼が「単に容積を消化する巨大ブロックを作ってはいけない」というもので現在進行中の銀座の巨大開発を批判的に例示してくれた。そして裏通りに残る路地を見直し、歴史を再考せよという説明があった。まあそれは今時の設計事務所なら一通り考えることだろうけれど、それを実際に形にするのはとても難しい。その理由は単純である。経済原理に優先する原理が見当たらないからである。
しかし、ではあるが、そうだとしても、それにどう抗うかを示さない限り、巨大設計事務所に明日はないと僕は思っている。いやもっと言えば彼らに仕事を発注している巨大企業こそ自家撞着に陥りそうなこの問題(経済原理に優先する原理を生み出すこと)を真摯に考えない限り企業として堕していくしかないだろう。その意味で彼らが「単に経済原理に則った建築を作るのではいけない」と言ってくれたことは嬉しかった。しかし大きな事務所はそういうことをもっと明示的にアピールすべきである。彼らは金科玉条の如くエコロジーを叫び、エコロジカルな素振りをしていれば社会的正義を獲得できているかのように振舞うがそれは幻想である。しっかりと声を大にして「経済原理のみで建築は作らない」ことを明言し、経済原理のみで建築を発注してくる発注者を啓蒙すべきである。
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