スローファッション
ケイト・フレッチャー(Flether, Kate)リンダ・グロス(Grose, Lynda)江戸克栄他訳『循環するファッション――新しいデザインへの挑戦』文化出版局2014の中にファストファッションに対するスローファッションのあり方が述べられている。それは「顧客に対してもっと少なく買うように、もっと特別なものをより長く使うように説得すること」が出発点と書かれており、その例としてMarie Iles Bourlangesのプロジェクトが紹介されている。それは体の動きによってできた着じわを記録し転写するもので、これによってその人自身の体の表情、日常生活の中で馴染んだ動作のはかない表情が表現されるという。こうしたプロジェクトは一見ファッションというビジネスにはのらないと思えるかもしれないが特別なものをより長く使うという観点でファッションを見直すならば十分可能性があると私には思える。建築をいきなりこういうレベルに持って行けばアート気取りの浮世離れしたものとして抹殺されそうだが、建築ももっと少なく作ることを是として、特別なものをより長く使うと考えればこうした観点からデザインを見直すことは十分にありうるはずである。しかしそのためにはいろいろな立場で新たな役割を担った建築家が必要となるであろう。この本では新たな役割のファッションデザイナーとして、伝道師的役割、調整的役割、活動家的役割、起業家的役割のファッションデザイナーの登場が期待されている。建築家も同様な気がする。
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