繊細の精神とは
パスカルは『パンセ』の中で人間には繊細の精神と幾何学の精神があると言っている。これを聞くと数学者パスカルの考えは数学者篠原一男の精神を見事に言い表しているように感ずる。篠原の空間はまさに大胆な幾何学と繊細な空気感を両立させるところに生まれているように思う。
話は飛ぶが、あの紙の会社である竹尾が原研哉編『SUBTLEサトル:かすかな、ほんのわずかの』竹尾2014という本を作った。その中でパスカルのこの話は原研哉と数学者森田真生の間で話題となっている。たしかに紙をデザインするということはまさにこの二つの神経の交錯するところに生まれると思う。この本に登場する作品を見ているとよくわかる。どちらかに神経が偏ってもいい作品はできないのだろうと思う。さて建築はというと??繊細さを単に質料的なとしてしまうと話は歪曲されてしまうので、これはあくまで幾何学精神と繊細精神と考えておきたい。
繊細とは何か、壊れやすい、虚弱な、力弱い、、、、言葉はいろいろ出てくるのだが、言葉にしてしまうとどうにもしらけてしまうので、今日の作品集のなかで一番繊細に見えた葛西薫の作品を記録として残しておきたい。これはマット紙の上に小さな宝石をおいてその上に和紙を被せた作品である。
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