ソーシャル化する音楽
建築がソーシャル化する昨今、音楽もそうなのかと思い『ソーシャル化する音楽』円堂郡司昭著、青土社2013を読んでみた。これは著者自ら言うように渡辺裕『聴衆の誕生』を受けて音楽が音楽を一生懸命聞き取る「聴取」することから変化し始めたその先についてポピュラーミュージックについて分析している本である。そのポイントは音楽が「分割」「変身」「合体」を遂げているというものである。分割とはアルバムという概念が壊れ聴く人が聴きたいものだけをネット上から獲得するようになったこと。変身とは椹木野衣が『シミュレーショニズム』で言うようにリミックス、カットアップ、カバーと言った手法に加え着メロなどに変化を遂げていること。そして合体とは演奏する人聴く人という境界が無くなりカラオケなどで聴く人が演奏する人と一体となる現象が様々見られるということである。こうした変化のひとつの原因はネットの普及であり、音楽が社会を網目状につなぐネットワークの中で変化していると言うわけである。所謂建築のソーシャル化はもう少し政治経済と絡んだ話なので同じソーシャルでもちょっと違うということである。
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