建築における大きさの問題
石上純也『建築の新しい大きさ』青幻舎2010を近美で見つけた。これは2010年に豊田市美術館で行われていた展覧会カタログである。こんな展覧会やっていたとは知らなかった。タイトルにあるようにこれはサイズに対する挑戦である。展示物のタイトルは「雲を積層する」「森を計画する」「地平線をつくる」「空に住む」「雨を建てる」得体の知れない大きさ、無数の縦の線、無限の横の線、針のような細さ、それらは自然界にはあっても人工物としては成立しなかったようななにかなのである。
僕は見ていないので分からないのだが、説明を書いている青木淳が言うようにこれは模型ではあるがそれは建築の代替物としての模型ではなくそれ自体が建築なのである。
昔博士論文を書いた時にそれまで東大でやっていた「建築の質量と形式」という講義録を整理した。その時にそこに足りないのは建築の大きさだということに気づき一章設けた。というわけでこの石上さんの挑戦はとてもよく理解できるし、そこに展示されていただろうものにとても興味がある。見られなかったけれど少なくともこのカタログに出会えて良かった。
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