澄明な文章
私の学兄である日建設計の中分氏から一読を強く勧められた本である。中分氏は元いた会社の先輩であるから学兄というのも変だが、私にとってはどうもそういう風に感じられる。つまり会社特有の風土や気配をまるで感じさせず、酒を飲んでも、いや飲めば飲むほど哲学を語りだすようなひとなのである。その彼が読めという本は大体はずれないので今回も素直に読んでみてとても感銘を受けた。何にかというと、ここに書かれている廣松渉についてではなく、著者小林敏明の筆力にである。小林氏はドイツて哲学を学びドイツで大学教授をされていた人だが、日本語の文章をここまで明快にかけるのはドイツ語の論理性が身に染みついているからと思わざるを得ない。実に澄明な文章である。柄谷行人論を最近上梓しているので是非読んでみたい。
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