佐藤万絵子ドローイング
入江君に模型を作って欲しいと頼まれたのは何年前だったか?朝日アートスクエアで行うアーティストが自分の作品をシミュレーションするために会場の模型が欲しいというのである。結局僕らは忙しい時でおおむろ君を紹介して彼にやってもらった。それから予定の展覧会は1年延びて今日がオープニング前日。なのだが前日にライブをやって会場で作品を制作するのである。そのライブに来ませんかと入江君に誘われて行ってきた。アーティストは佐藤万絵子さん。どういう制作かというとコントラバス奏者の即興(たぶん)演奏に反応しながら、マシューバーニーのごとく、会場に敷き詰められた白い紙に極太のオイルスティックのようなものでドローイングするのである。1時間そのドローイングは続く。身にまとう白いシャツは最後にはオイルの色がつき、手足もどろどろである。かすかに見えていた白い足の裏と土踏まずがなまめかし。それも最後には見えない。そして1時間後に床には小学生のお絵描きのような、しかしもちろんそれとは異なる軌跡が刻まれていた。
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