一面的
京都大学桂キャンパスに初めて来た。京都駅から結構遠い。煉瓦タイルと打ち放しのコンビネーションは理科大を彷彿とさせる。京都への車中で『東京2005—ポスト五輪の都市戦略』市川宏雄東洋経済新報社2015と『現代思想』2016年1月号見田宗介特集を読む。前者の著者は森記念財団都市戦略研究所の理事である。論調は東京を世界都市の中で順位づて(上位に登場するのはニューヨーク、ロンドン、パリ、シンガポール、香港などである)そのトップであることの戦略と方法を問うている。トップであるために起こるであろうダウンサイドに全く無頓着なこの論調に少々疑問。一方現代思想の見田宗介と加藤典洋の対談を読むと見田の『現代社会の理論』が加藤の見田との出会いでありその時に感じたのは見田が当時(1996)において情報化消費社会の光と闇の双方を相対化していたという点だったという。恐らく社会を語る上で一方的な視点はあり得ない。言えばこの東京論者の視点はあり得ない。デベロッパーの作る都市戦略研究所などやはりあてにならない。
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