トゥオンブリーのボケ写真
サイ・トゥオンブリーのドローイングを去年原美術館で見た。色使いと訳のわからない形に惹かれた。今年川村美術館で彼の写真展が開かれている。川村まで行く時間がなくて行くのを諦めていたのだがカタログがオペラシティで売っていた。
その中で学芸員の前田希世子さんはこう書いている。トゥオンブリーのドローイングが暗闇の中で視覚を捨象した状態で描いていたことからロラン・バルトが盲目性ということばで彼のドローイングを形容していた。彼が写真を撮り始めたのは写真にも撮った瞬間はわからない盲目性があることに気がついていたからだという。さらに80年代の彼の写真はクローズアップで輪郭線はボケているこの近視眼的な距離感はかれのドローイングが鉛筆(画面に近づかないと描けない)を使用することと関連するという。されにトゥオンブリー写真はポライドをカラーコピー機で拡大することで作者の意図を超越している。前田はそれを「目からの専制を逃れ、・・光によってもののディテールと色が消し去られ、世界の手触りだけが残されている」と表現している。
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