すごい本
紀伊国屋じんぶん大賞という賞があって2016年の1位に輝いたのがこの岸政彦の『断片的なものの社会学』。この賞ウェッブサイトを見るとなんと30位までランク付けされていて。選んでいるのは店長さんたちのようである。さらにこの本の帯がまたすごくて上野千鶴子、高橋源一郎が推薦の言葉を書いていて、佐々木敦、千葉雅也が絶賛と褒め称えている。こんなすごい本見たことない。こういうのに限って大したことないよくある、それこそ断片的なエッセイ集なのだろうと思って読んだら、この賞と帯に価するということが分かった。その理由の一つはこの大学の先生の学生時代の数年の日雇い経験、不妊症の治療の末に子供ができない境遇、そして独特の感性と文体なのだろうと思った。あまり関係のなさそうに見えるいくつかの事象をアナロジカルに平行に書き、読み手の想像力でそれらを繋ぎ留めさせる筆力。平易な文体でエキセントリックな聞き取りを披露する力である。面白い。お勧めである。
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