美学と政治
ジャック・ランシエール市田良彦他訳『平等の方法』航思社2014、待望の入門書というわけで読んでみたがなかなかどっこい難解である。ランシエールはニコラ・ブリオーの『関係性の美学』を批判した『解放された観客』の著者である。その批判の全貌は星野太君が「ブリオー×ランシエール論争を読む」において説明してくれておりそれはそれでなかなか晦渋だが面白い。ランシエールの批判は少なくともブリオーを利用した「芸術の再政治化」批判だと読める。ランシエールによれば芸術と政治は感性の分有によって成立する本質的には相同的なものであるにもかかわらず、関係性の美学に基づくアートはそれらを無理やり繋げることで芸術の本来持つ力を削ぎ落としてしまっているというのがその主張のようだ。つまり芸術を無理やり政治が発露する社会の中に強引に挿入すること(再政治化)で逆にその力を失っていると言いたげである。その点についてランシエールの思考の裏付けをとりたく読んでみたのがそう簡単に裏は取れない。インタビューにもかかわらず、、、
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