コスモポリタンであれ
2001年9月の同時多発テロの2ヶ月後社会学者のウルリッヒ・ベックがロシアで行った講演が『世界リスク社会論』(島村賢一訳ちくま文庫2010。ちなみに本書は後期近代社会を知る上で社会学の定番教科書である)の第一部である。この講演でベックの現代社会観察は1)テロと戦争と題して昔の国家同士の戦いが今は個人的なテロ行為という形で発生しうる。2)経済的グローバリズムと新自由主義と称して、そうしたテロ社会の中で新自由主義社会は政府をダウンサイズして内政的安全管理に予算を投じないが対外的には軍事介入して予算を投じることがある。3)国家と主権と称して、それゆえグローバル社会においては国家はその権力を最小化、脱国家化してコスモポリタンな関係性を築かなければならないと説いている。ベックがこの時念頭においていた批判の対象はブッシュなのだがトランプのしていることはまさにベックの主張の真逆である。グローバルな社会の流れと調和を取るためのコスモポリタンなセンスがない人間が一国の宰相となるのはまったくもって危険である。
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