ミュージアムコミュニケーション
もうだいぶお会いしていないのだが、FBを通してしょっちゅう会っている気になっている人がいるものである。そんな人の一人である光岡寿郎君から近著をいただいた。彼は僕が東大の文学部で建築を教えていた時の教え子の一人であり、その後一緒に勉強会やったり翻訳をやったりしたメンバーである。本はいつもあとがきから読むのだが、偶然あとがきの謝辞の中に自分の名前を発見して気恥ずかしくもなるが嬉しくもある。『言葉と建築』を一緒に翻訳したメンバーは皆とても優秀で様々な分野で活躍しているが彼もその一人である。
さてこの本の内容はどうもミュージアムという近代的な施設の持つ役割の拡張をミュージアムコミュニケーションという新たな概念で捉え直し、その役割の持つ可能性に言及するもののようである。
その昔イタリア旅行に当時小学3年生の娘を連れて行き、ルネッサンス絵画が並ぶ美術館群に辟易していた娘がヴェネチアビエンナーレに来て生き返ったことを思い出した。来館者は展示物とコミュニケーションしている。さらに著者の事例を読むとコミュニケーションは遥か館外にまで拡張されている。ミュージアムは一つのメディアであろう。そうなると一体ミュージアムは今後社会の中でどのような役割を持ち得るのだろうか?図書館がもはや本を借りるところではないのと同様、ミュージアムももはや何かを見て聞いて知識を得る場所ではないのだろう。先日2121でスポーツの展示をやっていていくと体力測定のようなアプリが山のようにあって配偶者と私は大いに楽しんで帰ってきた。これもまたミュージアムなのだなと感じた次第である。
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