強靭な精神
三谷直澄『哲学してもいいですか?ー文学部不要論へのささやかな反論』ナカ二シヤ出版2017 の著者三谷さんはおそらく僕が信大を離れる頃信大に来られた先生だろう。信大には文系にいい先生が沢山いる。三谷先生のこの本は文科省の実用大学主義の中で消滅の危機にある文学部の必要性を語っている。特に哲学について。著者は現状の大学性を「厄介ごとを回避するスマートさ」を無条件に肯定し、「僕いい子にしているから大丈夫ですよね」と素直だが弱々しいと捉える。しかしその弱々しさは問題のあふれる現代を乗り越える助けにはならない。「困ったことになったけれど道を探す」強靭な精神が必要なのであるという著者の主張に僕は全面的に賛成である。
僕の大学を見ていてもそういう傾向は顕著に見える。幾つかのタイプがあるのだが、
1)乳離れしていないタイプ
ー親が半分悪い。親がそれに気づいていないのがさらにまずい。
2)この程度でいいだろうと思っているタイプ
ー絶対成功しない。常に2流で終わる。
3)いい点を取ればそれでいいと思っているタイプ
ーいつかそれでは通用しないことに気づく。気づいて直せば救われる。
4)面倒臭いことをやらないタイプ
ー人に尊敬されない。されないと無視され制裁される。
自らを振り返る機会がないとこういうことは治らないのである。そしてそれは親でも友達でも無理で自分で気づくしかなく、自分で気づくには本を読んで先人の知恵をしるしかないのである。だから哲学が必要なのである。
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