前川國男の戦間期の建築論
松隈洋『建築の前夜前川國男論』みすず書房2016を通読した。450ページを超える大部の書は著者の博士論文に手をいれたものである。数年前神楽坂の中華料理屋で松隈さんに初めてお会いして僕が戦間期をつなぐ建築論に興味があることを話すとそれはまさに自分の博士論文ですよと教えてくれた。それからチャンスがあればその博士論文を読んでみたいと思っていたら出版された。建築創作論としては戦間期に伝統と創造を主題としていた前川の姿が印象的である。しかしモダニズムを標榜していた前川が伝統を持ち出してきたのはやはり戦争がそうさせたのか?それとも戦争がなくてもそうなっていたのか?わからない。伝統は建築にとって他律的な概念であり、しかし創造は自律的なものである。これらはしかしどのように昇華されていたのだろうか?そして戦後の前川の論理はどう発展するのだろうか?松隈さんの戦後の前川論を読んでみたい。
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