アラーキーはしご
配偶者は朝早く弓に出かけた。50射するらしい。弓道というのは的を射ればいいというものではなく入場から退場迄の動きが型通り出なくてはいけないそうである。およそ道と名のつくものは規範を真似、自己の内面に浸透させる修練である。
一方西洋伝来のアートは外部を自らの規範で読み変える技である。荒木の展覧会をハシゴ(写真美術館、オペラシティーのギャラリー)しながら荒木の外界を読み換える規範が見えて来た気がした。それは被写体を選択するが、選択したあとは見えるがままに切り取り 、不要な脚色や演出は施さないということである。
しかし一方で荒木に規範なんてあるんだろうか?という疑問も湧く。彼は目に入るものは可能な限り食い散らす恐竜のようでもある。かれの出版数は500を超えているのである。
さて建築に話しを引き寄せてみよう。建築においては多くの要望、法律、予算、工期などの条件を咀嚼して設計者それぞれが、彼/彼女の規範によってそれらを読み換える作業を設計と呼ぶのである。その意味でわれわれのやっていることは荒木のやっていることと原理的には同じである。少なくとも書道や弓道よりは類似した行為である。
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