建築の存立構造
真木悠介、大澤真幸 現代社会の存立構造/『現代社会の存立構造』朝日出版2014を読む。マルクスの読解本であるのだが、その深い部分は大澤の解説が懇切丁寧でとてもわかりやすい。でもこの本が建築的示唆を与えるのはその部分よりもっと基礎的な社会の認識が建築と重なる部分である。それは社会というものが「それがまさしく、切株や川の流れや台風等々と同様に対照的=客観的な、つまり物的な事象として存在するということ」と同時に社会現象が「自分たち人間じしんの行為の連関以外の何ものでもない」つまり社会は自分自身なのである。ということは社会は対象的であると同時に我々との連関の上にあるという二律背反の状態にあるという認識である。実は建築も切株のようなものであると同時に自分たちじしんの行為の連関以外の何ものでもないのである。そして設計者の力点の推移がまさに建築を前世紀から今世紀にかけて移動させてきた力なのだと思う。また逆に言うと建築の存立構造の基本にこの二つの視点があるし、建築家が考えなければいけないことでもある。
You must be logged in to post a comment.