戦後の日本建築論
戦後日本の設計論 1964 槇文彦 INVESTIGATIONS IN COLLECTIVE FORM 1967 原広司 建築に何が可能か 1969 菊竹清訓 か かた かたち 1970 丹下健三 人間と建築 1975 篠原一男 住宅論 1979 磯崎新 手法が 1980 槇文彦 奥の思想 1985 石山修武 秋葉原感覚で住宅を考える 1996 香山 寿夫 建築意匠講義 1999 長谷川逸子 生活の装置 1999 伊東豊雄 風の変様体 2000 隈研吾 反オブジェクト論 2004 青木淳 原っぱと遊園地 2009 アトリエワン 空間の響き/響きの空間 2010 中村択志 微視的設計論 2011 長谷川豪 考えること建築すること生きること 2011 坂本一成 建築に内在する言葉 2011 平田晃久 建築とは〈からまりしろ〉をつくることである 2012 坂本、塚本 建築構成学 2012 吉村靖考 ビヘイヴィアとプロトコル 2013 内藤廣 形態デザイン講義
思いつくままに並べてみるとほぼ予想通りの結果である。カントに先導されたモダニズムというものの性質から戦後の日本のモダニズムも基本的には形式を操作するという意味でフォルマリズムでありそれによって建築領域の自律性を保っていた。その辺りの設計論がすべて建築それ自体の設計であることがうかがえる。それがポストモダニズムを経て形式主義への懐疑が起こりそれが師弟の関係で見事に現れたのは篠原、坂本であり形式主義が瓦解した。それを文章としてみごとにまとめたのは隈研吾の反オブジェクト論である。その後設計論は建築それ自体の設計というより建築の周辺の設計あるいは関心へと向かうことになる。その中でも建築それ自体にこだわったのは何と言っても内藤廣である。さすが早稲田魂とでも言える。また長谷川豪も建築自体へのこだわりがある。
おそらく今の若い人の中で圧倒的に長谷川豪が面白い理由はここにある。また他の建築家でも「もの」への思索のない人は面白くないし伸びないと思う。
You must be logged in to post a comment.