ヴィドラーの第三の類型
昨日磯崎がケネスフランプトンを批判していたのを見てちょっと気になるこの本を覗いてみた(アンドリュー・リーチ横手義洋訳『建築史とは何か』中央公論美術出版(2010)2016)である。リーチはおそらくまだ30代の若手の建築史家であり将来有望と言われている。内容は近代建築史史的なところもあり、ヴィドラーが書いた『20世紀建築の発明』のもう少し広く浅いものとも言えるだろう。この本から直接磯崎の言葉をどう考えたらいいかというヒントはもらえないが、歴史を批判的に扱うという姿勢からはメタなものの見方の重視する点で共通しているかもしれない。
僕としてはちょっと面白かったのはヴィドラーが1977年に記したThe Third Typologyという論考の紹介でたまたま手元に原書がありアブストに目を通してみた。この論考は当時のヴィドラーの目からみた建築を3つの類型に分類し、三つ目を比較的重視した言い方になっている。そしてその3っつとは、
第一の類型:自然を基礎とする→自然とはロージェの言う原始の小屋のようなものだが自然科学のようにわれわれのガイドラインとなるものでもある。
第二の類型:産業革命を基礎とする→機械文明の中で生きるための建築。技術のユートピアとも言える。
第三の類型:自律性を基礎とする→自己言及的。使用される幾何学も自然的でもなく技術的でもなく建築的である。
この三つの類型は現代でも有効な類型と思われる。現代的に言えばエコロジーは第一の類型であり、ソーシャルは第二の類型である。そして今でも第三の類型はあり得るということである。もちろんこれらはある程度融合して建築はできるのだと思う。
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