セセッッション式
昨日の分離派研究会でアールヌーヴォーを広く日本に知らしめたのは伊東忠太と武田五一だという話があった。たまさか研究室に武田五一が大正15年に書いた『住宅建築要義』を開いてみると、第1章住宅建築史であり一節が日本住宅史、二節が西欧住宅様式史で一項イタリア、二項フランス、三項ドイツ、四項イギリス、五項その他欧州、六項アメリカである。アールヌーボーはフランスのところで紹介されている。セッションはドイツ。セセッションがセセッション式と紹介されているのも昨日のお話とおりである。面白いのはこの本の構成。武田五一が著者ではあるが、二章は住宅建設の準備、ここは設計のことが書いてある。部屋は何が必要で、方位はなど。三章は構造法一般で基礎、壁、床、屋根などが書かれている。そして四章は装飾、5章は衛生設備、六章は日本住宅の注意と称して、風呂、便所、押入れなどが書かれる。これも衛生設備ではあるが特に注意ということか。7章は付属建築と題して茶室、門、庭園などである。このころ設備と意匠という厳格な区分がないことが分かる。また装飾がしっかりあるのもやはり1911年という時代だろうか。面白い。
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