SD賞への感想
SD賞ありがとうございます。案の内容に共感をいただけたことを嬉しく思います。コトを示すプレゼンが多いなかそれをモノに落とし込む案が少ないという審査員の指摘がありました。私もそう感じました。そのなかでこれはモノをよく練っている、あるいは妥協がないという意見がありました。確かに比較するとそうかもしれません。しかしそれはたまさか本案がそういうフェーズに来ていたという風に見ることもできます。偶然案を練って練って練ったころ、提出日が来たというだけのことです。しかしそのことが伝わっていたことに安堵の気持ちがあります。
今年上梓した『建築の条件』という本のなかで建築を条件づける様々な要素を列挙しました。ジェンダー、視覚、主体、倫理、消費、階級、グローバリゼーション、アート、ソーシャル。建築の成立基盤が大きく変化し新しい成立の契機が現れている現在、建築の条件の中にはそういう可能性の芽が転がっています。しかしそれでも建築はそうした条件を器用に利用するのではなく葛藤して乗り越えてこそ得られるものだとも書きました。そしてその気持ちを実行に移そうと努力しています。世界的に見ても建築はそんなもののようで、事件化するよりも愚直に思考して作ることの繰り返しの上に現れているように見えます。
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