山本の視点を批判的に読む
今村さんが訳されたヴィドラーの『20世紀建築の発明:建築史家と読み解かれたモダニズム』はモダニズム建築の本ではなくモダニズムの本であり、モダニズムという思想がどう作られたかを綴った本である。これを読むとバンハムやギーディオンがいかに歴史をうまく作り上げていたかがわかる。その時代40年代、60年代を肯定するストーリーと作り上げている。これを日本で見るなら例えば山本学治の『日本建築の現況ーその敬太60年代の展開』はバンハムの第1機械時代に遅れること10年くらい1969年に出版された60年代論である。これを読むとバンハム同様いかにして日本のモダニズム(あるいは60年代の建築)を肯定しそれがいかに可能になったのかという筋道で書かれているわけである。しかしバンハム史観がすでに偏った見方であるのと同様。山本を批判的に読む視点というものがあるはずである。21世紀から見る時20世紀の中に21世紀がどのように作られてきたという別の見方があるはずなのである。
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