建築を創る力
物理学者は一級の哲学者である。ものの成り立ちを考えるという意味で両者の思考回路は同じである。そんな物理学者が考える「考える力」とは哲学的で普遍的だと思う。という理由で本書(上田正仁『東大物理学者が教える「考える力」の鍛え方ー想定外の時代を生き抜くためのヒント』PHP文庫2017)を覗いてみた。曰く「自ら考え、創造する力」は3つの要素からなる1)問題を見つける力、2)解く力、3)諦めない人間力、だそうだ。やはり普遍的である。これはそのまま[「建築を創る力」といってもよく建築版として次のように言い換えられる。1)プロジェクトにテーマを見つける力、2)それを構築する力、3)諦めず建築を続ける人間力である。そしてそれぞれのフェイズで重要なのは1)では情報を集め理解したら捨てる。人のやっていること人がテーマ化しているようなことは捨てる。2)テーマの類型化、要素化してそれぞれに答えを出していく。大きなテーマには建築的答えがだしにくい、細かいことの集積としてあるいはとある要素に着目することで建築はつくり得る。3)好奇心を絶やさない。つまり面白いと思えることをし続けるということだろう。面白いと思うことしか続かない。
You must be logged in to post a comment.