モノ建築の種類
ゼミで質料性に関することを話している学生がそれを物質志向存在論に結び付けているのを聞いてそれはどうも違うと思ったが実はこの接続は自らが『メディアとしてのコンクリート』の序文で記していたのである。そこで自戒の念も込めて少し整理しておく。
哲学的object問題は人間中心主義からの脱却である。質料性の問題は半形式主義である。あえてここに共通点をみるなら反カント反モダニズムである。さらにややこしいのはゼンパーからの流れである昨今の被覆性の復活である。ヘルツォーグ、ピアノ、そして隈研吾と被覆性の系譜はETHに端を発している(というのは川向先生の解説である)。隈さんはこの被覆を反空間として説明している。つまりこれも反モダニズムとして相同的である。
これら3つのモノ建築は相同的だがその現われはそれぞれちょっとずつ違う。オブジェクトとしてのモノ、質料性としてのモノ、被覆性としてのモノ。分けて考えておいたほうがよいだろう。
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