狭間
哲学者野家啓一が昨今の金にならない学問への冷遇に抗い、カナダの政治哲学者チャールズ・テイラーを引きながら工学のように有用な学問とは学問の営みそれ自体が内在的価値を持つものではなく、外在的な目的に奉仕する手段として価値があると言う。だから工学は時々間違いを起こす。あるいは利用される。そして有用な学問が空洞化すると嘆いたのがフッサールであった。さらに野家は言う。有用な学問はさっさと結果を出すという言う意味でファストサイエンス。文学はゆっくりと効果が現れるのでスローサイエンスだという。世の中スローな時代にサイエンスもファストだけではだめだとぼくは思う。建築だってファストな分野とスローな分野がなければなるまい。だから人文的な建築の知は必要でありそういうスカラーには是非頑張って欲しいと思う。そして私はその狭間でいたい。
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