パトスを掬う
とあるカメラマンに今設計している建物の模型写真を撮ってもらうことにした。彼は僕らが言葉では説明しきれない何かを撮れたら嬉しいと言ってくれた。僕は建築をロゴスで語ろうと躍起になっているが創る瞬間はパトス漬けだしそのほとばしるパトスを活写してもらえるのなら見てみたいと思うのである。
そんな模型写真をみたことはあまりない。いや僕の経験では一回もない。だからだろうか建築の展覧会に興味が湧かない。展覧会に並ぶ建築は建築じゃ無い。そこにあるのは建築のロゴスの残骸のようなものだからである。同じ時間をかけるのならパトスを感じることができる美術の展覧会に行く。その方が自分を充実させることができる。では本物の建築ならパトスに出会えるのか?じっくり端から端まで内も外も舐めるように見ればそれに出会えるかもしれないが外観をちらっと見たからっと言ってそんなパトスに出会えるのは10回に1回くらいである。ではなぜ毎朝見ているのかというとそれでもパトスに出会えるかもしれないと期待しているからである。
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