格差社会の文化の溝
昨日のゲーテのシンポジウム「危機の時代のアートの自律性」はセレブのアートと社会のアートの埋めがたい溝が問題となったがそれは建築も同じだとつらつら思っていた。ところでこういう溝は過去になかったのかといえば近代市民社会以前には階級ごとに衣食住にはそれぞれのスタイルがありそこにも埋めがたい溝があった。溝は階級さの象徴であり不可欠だったわけである。しかし階級が瓦解して溝もなくなったのがモダニズムである。ル・コルビュジエの最大の功績はだれでも箱に住めることを知らしめたことである。しかるに資本主義が世界を丸呑みしてネオリベが貧富の差を加速して世界は格差社会に突入した。そしてわれわれはまた貧富の埋めがたい溝を経済的にも文化的にも再生してしまいアートにも建築にも埋め難い溝をつくったのである。だからこの溝は社会が変わらなければ埋まらない。歴史が証明している。
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