社会学と建築意匠論
岸政彦、北田暁大、筒井淳也、稲葉振一郎『社会学はどこからきてどこへ行くのか』有斐閣2018は社会学の研究方法論の差がおぼろげながら見えてくる。特に岸の質的社会調査と筒井の量的社会調査の差そして北田の理論、学説史、稲葉のさらに拡張する社会学などの方法論の差はおそらく建築の意匠論に見みられる幅の広さに類似する。たとえば質的調査はインタビューを多用し、量的調査は統計値をあつかう。これは僕の研究室でもおこることである。そして質的調査は比較をしないで、量的調査は比較を重視する。異なるから比較する準拠がない。だから比較しないと質の人は考え、異なるからお互いを鮮明にするために比較せよと量の人は言うわけである。これは建築でもおこる悩みである。篠原一男を鮮明にするために清家清と比較するべきなのか否かである。建築では意匠の人は論文に没頭しないので(設計しているから)この方法論の差を厳密に議論しないでずーっと来ているけれど、社会学に倣い方法論の差をより明確に議論しないといけない。少しずつでも学会小委員会のテーマにしていこうと思う。
You must be logged in to post a comment.