設計事務所の生産性
宮川務『生産性とは何か−日本経済の活力を問い直す』ちくま新書2018を読みながら「設計事務所の生産性とは何か」という問いが生まれた。それはどういう要素で決定されるのだろうか?仕事の仕方とかcadの使い方だろうか?そういうことは色々あるのだろうがそういう要素は割合として小さいと思う。生産性とは事務所の売り上げ割る人数である。そうなると生産性はほぼ受注した建物規模に比例する。スケールメリットである。そして建物規模は事務所の何に起因するか?もちろん事務所の色々な意味での能力によるのだがそれだけではない。僕は事務所のコンセプトが大きく関わっていると思っている。例えば今僕が面白いと思っている建築と哲学が交差するところの概念として「情動」「物」「共同性」「技術」を挙げてみる。こんなテーマと関係なく黙々と建築を作る事務所もあるけれど、現代的アクチュアリティを求めてこういう概念と交差する事務所も多々あるだろう。さてそうやって事務所を分類してその生産性をグラフ化すれば何をテーマとしているかで生産性に差が出るように思える。上の四つでいえば情動、物は比較的芸術性が高く、共同性、技術は社会性、工学性が問われていく。社会のニーズはすべての分野にあるといえども現代社会では工学性、社会性に傾き芸術性は昨今上昇してきているとはいえ低いだろう。そうなると生産性も結果的にそちらが高いということになろう。まあ生産性を上げるために建築を糧としているわけでもないのだがやはり食えてなんぼだから少しはそういうことも考えてもいい。
You must be logged in to post a comment.