建築および建築外的思考
『人新世の哲学ー思弁的実在論以後の「人間の条件」』人文書院2018を読む。タイトルが示す通り「物」の哲学をさらに現代的な問題群につなげる著書である。これを建築的に読むと人間世界をその中で閉塞させるのではなくその外側にどのように繋ぎとめるのかと読める。しかしそれは端に開放的な自然建築を作りましょうということではない。むしろ重要なことは建築および建築を利用する人間がそれ以外の何かと関係性を持ってそこに存在していることをどう意識化するかということである。我々が日々感じる自然とジャーナリスティックに騒がれる自然がどう結びつくのかを認識することである。われわれは小学生のころ身近に感じる自然が犯され破壊されていたのを目の当たりにした。例えば光化学スモッグに苦しみ、公害と戦うラルフネーダーはヒーローだった。しかるに現代日本社会では自然破壊は眼前の恐怖ではないところが難しい。でもそれは意識の中になければならない。
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