自然
本日京大で行なう「建築論の問題群」研究会のテーマは「自然」である。自然はプラトンが数比を見出し、アルベルティが均斉と関連づけ、フィラレーテやロージエが建築の原始と考え、カトルメール・ド・カンシーがその概念と物の双方に注目し、さらにゼンパー、ラスキンにおいても建築との関連が位置づけられてきた。そしてモダニズムは自然と建築との繋がりを断った。その理論的背景にはヴォリンガーの『抽象と感情移入』があり建築はもはや自然を表彰するようななにかではなくなる。しかるに21世紀に入り環境主義のもとに建築は再度自然を地球規模で考えなければならない段階にある。という流れを今日の論者は恐らく各論としてお話ししていただけるのだろうと思っている。
しかし僕にとっての自然は毎朝起きて窓越しに見えるトネリコとユーカリの新芽だったり空の青さだったりする。その日々変化するこのものたちの息吹が建築との関係の中でとても重要なのである。それは建築の本質でもないし概念でもないし環境でもない気がする。
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