研究の2軸
社会学者稲葉振一郎に拠れば、研究には大きく因果を知ろうとするものと事象や事物を解釈しようとするものがある。ある言い換えをすると万物の法則を知ろうとするものと個別の歴史を探るものがある。さらにそれを方法論的に言い換えると量的分析と質的分析がある。分析対象と分析項目が定まっていれば対象を数値化して多変量解析すれば良い。しかし建築論のような領野では対象がそもそも定まっていない建築論のようなものではいきなり量的分析など難しい。だからまずは質的分析をして何が問題であるかを知らなければならない。そこで学会の建築論•建築意匠小委員会ではアンケートをとったのである。作家論のようなものは因果も解釈も可能である。われわれが行なっている篠原一男分析は言説の質的分析(KJ法による解釈)と建築実体の量的分析(定量化+クラスター分析)を付き合わせる方法をとっている。対象と目的によって最良の方法を選択するのが研究であるが、こう言う二つの方法を意識していると整理しやすい。
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