今年を振り返る 建築編
今年を振り返る 建築編
去年の夏からJIAマガジンの編集長になり表紙を「建築が生まれる時」と題してプロジェクトを導いたドローイング、模型を掲載させていただいた。隈研吾、大谷弘明、永山祐子、ヨコミゾマコト、千葉学、田根剛、比嘉武彦、RCR、末光弘和、豊田啓介、小堀哲夫、山梨智彦、能作文徳、藤村龍至、門脇耕三、ADVVT、日建設計、山下設計、久米設計(敬称略)にご協力いただいた。最後の3つの組織事務所にはオリンピック施設の設計についてインタビューさせていただいたが内容確認のためにゆうに500通くらいのメールをやり取りした。
建築学会の建築理論・建築意匠小委員会の主査を去年から行い、建築論のキーワード集を作るべく研究会シンポジウムを行っている。今年は2月に法政大で「建築の社会性」をテーマに、妹島さん、坂本さん、ヨコミゾさん、青井さんを招いて議論。6月に京大で「自然」をテーマに入江さんを招いて議論。9月に金沢工大の学会で「建築の自律性と他律性」をテーマに香山さん、北山さん、加藤耕一さんを招いて議論。12月に岐阜にて「日常と聖」をテーマに岡北さん、長島さんを招いて議論。回を重ねるにつれて現代建築の論理の深みを考えさせられる。
夏に南米に行き、モンテビデオ、ブエノスアイレス、サンチアゴでレクチャー。ロベルト、スミルハン、マックスの建築に感銘を受けた。
ミースファンデルローエ財団が企画する建築を志す学生のためのコンペティションの組織づくりをスタートした。ドイツと縁の浅い私だがたまさかゲーテインスティチュートのディレクターが知己で依頼された。そこで日本の建築学科を有する150くらいある大学を40くらいに絞り込みコンペの参加を依頼することとなった。大学の選考にはQSランキングも利用した。
2月に子供の家、4月に運動と風景、5月にFujihimuro、11月に甲府の御堂が竣工した。それぞれ担当者の頑張りで密度の濃い仕上がりになった。運動と風景は2017年にSD賞をいただいた建物で、審査員だった千葉学さんに竣工レビューをしていただき、内臓のような身体感覚があると評された。また阿部勤さんの家を私が訪問、阿部さんが運動と風景を訪問してクロスレビューをさせていただいた。二つの建物に共通点が多々あることに驚いた。また11月には長谷川逸子さんのギャラリーで建築家の自邸を議論するという門脇耕三さんプロデュースのシンポジウムでお話させていただいた。すでに運動と風景には600人くらいの人が来訪した。
来月6日に図渡しをするために150枚以上の図面を仕上げている。ワクワクするようなプロジェクトである現場が楽しみである。
来年3月に本屋に並ぶ本『建築の設計力』(彰国社)の原稿の最終段階となった。来月13日に最終稿を提出するべく正月返上、最後の赤入れ中。3冊目の単著である。これまでの二つの単著『建築の規則』、『建築の条件』はどちらかというと建築鑑賞の道しるべとしての役割が強い。しかし鑑賞と制作は表裏一体でありこれら鑑賞の道具を位置づけながら建築の設計力とは何を学ぶことで向上するのかそのメカニズムを示す本である。
今年もいろいろお世話になりました。マガジンの表紙を飾ってくれた建築家たち、スタッフ、クライアント、施工者、編集者、日本とドイツのゲーテの人たち、ありがとうございました。来年もよろしくお願いします。
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