今年を振り返る 読書編
今年を振り返る 読書編
今年は本当に忙しくて読書量が例年の6割くらいであった。とほほ
その中で一番面白かったのは信原幸宏『情動の哲学入門』である。人間は事象に体が反応してそれを価値として受け取るというプロセスの説明が的確だと思った。体の本として伊藤亜紗の『記憶する体』は体の不自由な人にインタビューした興味深いレポートである。ファッション関係では堀畑裕之の『言葉の服』は哲学を学んだファッションデザイナーの言葉で創作論として示唆するところが大きい。また『ファッションと哲学』はアンソロジーだが様々な注目すべき言説が転がっている。食の本では三浦哲哉の『食べたくなる本』が面白い。これは食の本をレポートした本でその中にのっていた有元葉子の『ためない暮らし』の教えに沿って行きている。アート関係では筧菜々子の『ジャクソンポロック研究—その作品における形象と装飾性』の分析が秀逸。ポロックの装飾性という以外な結論も面白い。レフ・マノヴィッチの『インスタグラムと現代視覚文化』の調査分析も説得力がある。社会の話では山岸俊男『安心社会から信頼社会へ−日本型システムの行方』は常日頃感じていたことだった。そして最後にテレビドラマにもなった朱野帰子『わたし定時で帰ります』は現代社会が本当に変わりつつあるのだなということを実感する本だった。来年はもう少しじっくりと読書する時間を作りたい。