狭い社会を広げる
人間の生きる世界は広いけれど、各自が関係を持つ社会は狭い。あなたの家族、親の所得で決まる学校の友と近所の人。仕事の種類で決まる取引相手。仕事によってはそれを評価する人達。そうした生きる圏域は親からもらい子へと再生産される。ブルデューやアルセチュールはそんなことを言っていた。それで、僕らのような仕事はこの評価する人に褒められたり叩かれたりして一喜一憂する。僕の作ったものをよく言ってくれる人はいるけど全くダメと言う人もいる。論文もそう。博士論文は恩師には最初の3章は要らないなと言われた。かたや違う大学のK先生にはとても評価していただいた。一方『建築の条件』は逆にK先生には相手にされなかった。社会が建築を作るなんてあり得ないと言われた。まあマルクス経済学の論文を古典経済学者に見せるようなものである。評価と言うのはA面B面があるので一つの評価に一喜一憂しても意味はない。生きる世界を少しずつでも広げるとB面の評価者に出会うものである。